ゼロ

ホリエモンの「ゼロ」を読みました。

自分自身のキャリア観や仕事論に、かなりの刺激が加わりました。

もっといえば、自分のゼロに、ホリエモンのゼロが加わったと思います。

 

キャリア観や仕事論に、どんな内容や意味があっても、

お金やモノのような具体的な価値や効果がないので、こういうのを

ゼロと表現するのは、なんとも言い得て妙だと思います。

能力にも似ているというか。使ってなんぼというか。

 

 

ゼロの文章は、いまどきの本らしい仕上がりで、とても読みやすいです。

難読な単語や言い回しは少なかったり、文章が見開きで完結していたり、

事実と事実をもとにした考えを、こうまで表現するのは見事です。

 

そして、そんな文章の内容は、

著者であるホリエモンの人生と、そこでの生き方と働き方です。

彼の生き方は、すなわち、働き方であるようにも思います。

 

それはみんなそうなのかもしれません。働かざるもの食うべからず、です。

しかし、それをここまで赤裸々に書き記すには、

血反吐を吐くような思いをしないといけない、と思います。

自分で自分の人生を叙述するのは、生半可な覚悟や気持ちでは出来ないでしょう。

 

特に、起業するまでのホリエモン少年期~青年期は、

あっさりしていながらも、よくここまで書いたとさえ思います。

彼という人間や人生を理解するのに、非常に充実した内容といえます。

また、その人生から得た、彼なりのキャリア観と仕事論は

彼なりの純然たる考えや思いが伝わってきます。

それをどうとらえるかは、読者次第ですが、わりと私は

好意的に感じ、面白い人だと思いました。

 

 

本の内容や評判、それに対する感想はさておき。

この本を受けた私自身にプラスされたのは、

新たな考え方とか価値観のようなものだと思っています。

 

この本で、彼が読者に伝えたかったメッセージは、

「はたらこう」です。

働くことこそ、その人の存在意義であり、存在意義の表現である、と

私は思いました。そして、それらの内容やまとめ方は、その人次第です。

 

お金、自由、名誉、楽しさ…これらの反意語は、たぶん、

貧しさ、制限、恥辱、つまらなさ…だと思います。

これらは、その人が生きることと、生きて働くことで、

その人なりの意味合いを持ち、発揮すると思います。

 

あるいは変化し、認識し、悩み、挫折し、成功し…

生きて働くことが、その人の人生の形や軌跡になりながら、

その人なりの歩み方になるのだと思います。

あるいは、その人という存在そのものでもある、と思います。

 

これらの生きて働くことの一連を、ホリエモンは、

この本で彼なりに表現しています。

それも、今までの人生を踏まえて書き上げています。

 

となると、読者もまた、読者なりのそれらを

表現するべきではないか、と思います。

ただ読むのも、本の醍醐味かもしれません。

しかし、内容をもとに実践するのもまた醍醐味だと思います。

特に、ビジネス書のたぐいはそうだと思います。

 

それが、ホリエモンの行ってきた、ゼロにイチを足す、

ということだと思います。

ちょっとずつでも、やってみる。一歩を踏み出す。

失敗をしても、どうにか挽回する。

 

生きている中で、逃げても良い時もあれば、

逃げても逃げ切れない時もある。

そういう時に、その人のゼロや、ゼロに足された少しずつのものが

役に立つんじゃないかな、と思った本でした。

 

ちょっとずつでも足せば良い。

 

努力の積み重ねの地道な大事さを、ホリエモンに説かれたと思います。